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学会理事長あいさつ

公益社団法人日本口腔インプラント学会
理事長 渡邉文彦

 新年明けましておめでとうございます。会員の皆様には学会活動に日頃よりご尽力、ご理解を頂いておりますことをお礼申し上げます。また本年が皆様方にとりまして良い年となるよう願っております。
 年頭にあたり、ご挨拶お願いを致したいと思います。
 口腔の健康維持と増進が全身の健康に重要であることが認識されてきておりますが、しかしまだまだ国民の皆様にも医科は生死に関係する部分があることからか、医科に比較し歯科はこの認識が低い部分があります。ここ数年、少子高齢化に伴って介護費用の増加、少子高齢化による若い人たちへの負担増が大きな社会問題です。2060年には日本の人口の減少、65歳の高齢者が人口の39.9%、2.5人に1人が65歳以上となり、大きな社会問題になっております。このことは、医療費や介護にかかる費用の増加を生み、高齢者を支える若い人たちへの負担が大きくなります。亡くなるまでの期間、健康を維持することはこの解決の1つの重要なカギとなります。現在より健康寿命を延ばし、平均寿命との差を少なくすることです。歯科医療はこの重要な役割を期待されております。
 健康日本21の設立趣旨は「国において、これからの少子・高齢社会を健康で活力あるものにするため、生活習慣病などを予防し、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸を目標とする健康づくり運動」です。この点から口腔機能の健康は重要な役割を果たします。近年、認知症がまた循環器障害、呼吸器障害、免疫疾患等とともにその対応や予防が取り上げられています。
 口腔インプラント治療は今日、より質の高い口腔機能回復、審美回復が可能として頻繁に応用されてきました。現在10人に1人~2人はインプラントを受けているという報告もあります。インプラント治療の適応で最も多い年齢は50代、60代であり、またインプラントの残存率は10年で95%、20年で80~85%と報告されていることから、これをベースに日本人の健康寿命と比較するとインプラント治療を受診した方の多くが健康寿命を超えることになります。インプラント治療を行うことにより、十分な咀嚼機能の回復が行われれば、健康増進を図ることができ、適切な嚥下機能も回復され、誤嚥の予防にもつながります。また歯を回復することは単に咀嚼機能だけではなく、発音を回復し会話も可能となり、生活も前向きになります。
 現在、日本口腔インプラント学会研究推進委員会では日本老年歯科医学会、日本補綴歯科学会と協力し、学会会員に対しての高齢者の治療、検査に関するアンケート調査を進めております。対象は在宅医療、医療老人ホーム、介護施設などに入居されているインプラント患者の検診や治療に関しての状況調査です。今後はこれをもとに介護施設、医療老人ホーム、現場での実地調査並びに、各研修施設でのインプラント患者の予後、長期例についての調査をお願いしたいと思います。介護が必要になった患者の口腔内の状況を把握し、またこのなかでインプラント治療を受診された方の状況も合わせて調査し、その状況を把握する予定です。もちろんこの調査は行政のサポートが必要であり、これに向けて現在準備を進めております。この調査から現状把握と、口腔ケアの在り方、また口腔清掃し易い上部構造への変換に関するガイドラインの作成、高齢者の口腔インプラント治療ガイドラインの作成などを進めて行く予定です。
 これには各会員の皆様の治療に対するコンセンサス、ご理解と協力なしには達成できません。口腔インプラント治療が国民の皆様の健康増進に直接関与していくことを明らかにし、これを国民の方々にご理解をして頂くために是非、お力をお借りしていきたいと思います。失われた歯の代わりとして口腔インプラント治療により口腔機能回復をはかり、国民の健康増進をはかることはひいては医療費の抑制の一翼を担うものと思います。何卒、会員の皆様のご協力をよろしくお願い致します。

理事長 渡邉文彦


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