インプラント周囲炎の発現のメカニズム  (2/2)

 (2)プラーク細菌によるインプラント周囲組織破壊(組織学的検索)
 プラーク細菌に対する天然歯とインプラントの周囲組織に対する影響は、著しく異なってました。同じ期間プラーク細菌を関与させましたが、天然歯では、歯肉組織に炎症は認められていません。一方、インプラントの周囲組織には著しい炎症性細胞浸潤を発現していました。

 
図8. 術後6ヵ月:天然歯群
歯周組織に炎症は認められない。
図9. 術後6ヵ月:インプラント(In群)
インプラント歯周炎を生じている

 また、プラーク細菌が関与したインプラント周囲炎では、天然歯に認められる歯周炎とは異なった組織破壊像を呈していました。天然歯の歯周炎で認められる歯周ポケットの形成はインプラント周囲炎ではあまり認められません。一方、インプラント周囲組織における炎症性細胞浸潤の著しい部位は、フィックスチャーとアバットメントの接合部を中心として認められました。これら著しい炎症性細胞浸潤は、歯槽骨頂部に達し、カップ状の骨吸収を発現し、天然歯で認められる垂直性骨吸収の形成は認められませんでした。

 
図10. 術後6ヵ月:インプラント(Br群)
図11. 歯槽骨頂部の拡大像


 以上プラーク細菌がインプラント周囲組織に及ぼす影響について見てきましたが、
  1. 天然歯の歯周ポケット内細菌叢がインプラントサルカス内の細菌叢に影響を及ぼすこと
  2. プラーク細菌に対し天然歯に比較し、インプラントの周囲組織は炎症による破壊が著しいこと
  3. インプラント周囲炎では、フィックスチャーとアバットメントの接合部に著しい炎症の発現がみられたこと
 などのインプラント周囲炎の特徴があげられますので、インプラントの臨床応用に際してはこれらの特徴を理解されて応用してください。
    参考文献
  1. 穂坂康朗、関口一実、斉藤 淳、木暮隆司、中川種昭、山田 了:プラークのイヌインプラント周囲組織に及ぼう影響についてー臨床・細菌学的検索-、日歯周誌、38:339~345,1996.
  2. 山之内一也、太田幹夫、大島みどり、日高庸行、山田 了:プラークのイヌインプラント周囲組織に及ぼう影響に関する組織学的研究、日歯周誌、38:457~464,1996.
  3. Marinello,C.P, Berglundh, T., Ericsson, I., Klinge, Glantz, P.O.and Lindhe, J. : Resolution of ligature-induced peri-implantitis lesions in the dong. J. Clin. Periodontol., 22: 475~479,1995.

[ 1 - 2 ]


■□■ 最新情報履歴 ■□■


インプラント治療における画像診断
Ossseointegration獲得後に生じる偶発症と
インプラント・補綴装置のメインテナンス
βTCP・CMキチン複合材料への期待
骨増量法の現状と未来
口腔顎顔面インプラント治療について
インプラントの咬合
インプラント適応症の拡大のための治療オプション
骨内インプラントの選択
インプラント周囲炎の発現のメカニズム
下顎総義歯難症例へのインプラントの効用
最新情報トップへ