HOME   日本口腔インプラント学会理事長挨拶 

学会理事長挨拶


(社)日本口腔インプラント学会    理事長    川添 堯彬
KAWAZOE Takayoshi, DDS,PhD
President 
Japanese Society of Oral Implantology


「口腔インプラント専門医」および関連制度の発足に当たって:キャリア
パスとしての「JSOI認証医」、「インプラント専門歯科衛生士」ほか

Systems of the Medical Specialist Implantology and Others Which Are Authorized by JSOI Are to Start Functioning This Year:A Trained Dentist, A Senior Trained Dentist, A Trained Hygienist, and Others as Career Paths


 最近の歯科界の動向は、診療供給者側から見る限り、熾烈な変革の波を受けており、特に健保法改正や医療制度改革関連法成立の診療供給者側への影響、歯科医師の社会参入の抑制など、いずれも診療側の苦境が顕在化してきました。
 しかし、そんな中にあって少しでも歯科界が、診療側、患者側双方が明るくなるように、“逆風に満帆ならずとも着実果敢な帆をあげよう”の喩えのとおり情熱ある本学会会員の皆様が積極的に前向きに進んでいただくことこそが、苦境下の歯科界を改善・回復へ向かわせる原動力になるに違いありません。
  一方、患者側の願い、期待、満足度、信頼度もこれからの医療においてはもっと配慮の必要があるでしょう。患者さんは診療側に何を望んでいるのか、をもう少し耳を傾けてみますと、先進的医療技術を持ちウデの確かなインプラント歯科医を紹介してほしい、治療費が妥当かどうか、治療後に問題が生じた場合においても十分な手当てをしてくれるかどうか、人間的に信頼できる歯科医かどうか、などの声が聞かれます。専門医に対しても、社会・患者側からはこれらの資格条件の充足・担保・証明・責任を求められてくることでしょう。そしてそれら諸々の要求を達成できたとき、 真の信頼が与えられることになるでしょう。
 本学会では、これから口腔インプラント学および治 療に関連して、「専門性はどうあるべきか」について種々の切り口から考察して本学会の専門医制度に反映させていきたいと考えています。第37回学術大会のメインテーマ「専門性あるインプラント治療」とも関連していますので議論を深めてほしいと思います。また、極力機会を作って市民公開のシンポジウム・対話集会などを開催して現場の意見を吸い上げることも考えています。
 そこで本学会では、口腔インプラント専門医関連の5制度のうち「JSOI 認証医」、「口腔インプラント専門医」、「口腔インプラント指導医」、「口腔インプラン ト基礎系指導医(者)」の4セット制度・規程を整備 し、合わせて会員からの要望のい「インプラント専門歯科衛生士」の規程を整備して、新年度の出来るだけ早期の実現を目指しています。実際の発足に先立って、それら制度の骨子が先の理事会(平成18年11月23日、最終決定は平成19年3月25日総会予定)で承認されていますので、それぞれの専門資格制度の骨子・資格条件を以下に開示したいと思います。
1〕JSOI 認証医
  @本学会正会員歴:2年以上
  A日本国歯科医師免許取得者
  B日本歯科医師会の会員
  C指定研修施設在籍:2年以上
  D認証医申請用教育講座(100時間コース)修了者
  E学会参加(本会または支部):4回以上
  F症例提出:2年以上経過の5症例
  G指導医2名(内1名は施設長)の推薦書
  Hケースプレゼンテーション試験合格
2〕口腔インプラント専門医
  @本学会正会員歴:5年以上
  A日本国歯科医師免許取得者
  B日本歯科医師会の会員
  C指定研修施設:在籍5年以上
  D専門医教育講座受講:3回以上
  E論文:本会学会誌1編以上、ケープレ論文も可
  F学会発表(本会または支部):2回以上
  G学会参加(本会または支部):8回以上
  H症例提出:申請時に3年以上経過の20症例
  Iケースプレゼンテーション試験合格
  J 専門医試験:筆記試験+面接試験
3〕口腔インプラント指導医
  @本学会正会員歴:10年以上
  A日本国歯科医師免許取得者
  B日本歯科医師会の会員
  C専門医取得者で取得後3年以上経過した者
  D専門医教育講座:直近3年間に3回以上
  E論文:6編以上(本学会会誌1編以上)
  F学会発表:6回以上、内2回は主演者
  G学会参加:10年間に10回以上
  H症例提出:3年以上経過の100症例
  I指導医2名の推薦書
  J 指導医試験:面接試験合格
4〕口腔インプラント基礎系指導医
  @本学会正会員であること
  A日本国歯科医師免許または同医師免許取得者
  B大学基礎系分野所属の教授またはそれに準ずる者
  C論文6編以上
  D指導医2名の推薦書
  E書類審査合格
5〕インプラント専門歯科衛生士
  @本学会正会員であること
  A日本国歯科衛生士免許取得者
  B3年以上インプラント治療の職域業務に従事していること*
  C本会学術大会および支部学術大会参加:各1回以上*
  D本学会学術大会インプラント専門歯科衛生士教育講座受講:1回以上*
  E介助ならびにメインテナンス症例提示:3年以上経過の3症例*
  F口腔インプラント専門医(認定医)またはインプラント専門歯科衛生士1名の推薦
  Gインプラント専門歯科衛生士ケースプレゼンテーション試験合格*
  * 3年間の暫定期間に限り減免措置あり。

正会員がこれから目指す専門資格キャリアパスとは
 歯科医師が目指す専門資格として、本学会にはまず会員歴2年以上で<1>JSOI 認証医を取得し、その3年後すなわち会員歴5年以上で<2> 口腔インプラント専門医が取得できます。さらに10年以上の会員歴によって<3> 口腔インプラント指導医があります。そして将来構想として<4>口腔インプラント専門(特定)指導医の設置予定もあります。
  また、大学基礎系分野の教授またはそれに準ずる歯科医師、医師または研究者で口腔インプラント学関連の研究を行っている本学会正会員のための専門資格として<1> 口腔インプラント基礎系指導医があります。これは従来からの基礎系指導医の役割に加えて、本学会の基礎系会員の研究発表や学術関係の専門指導者として貢献いただきたく考えています。そして将来的には<2>口腔インプラント基礎系専門指導医(者)の構想が考えられています。
  一方、コワーカーの歯科衛生士、歯科技工士の口腔インプラント治療への貢献・役割は近時ますます増加し、患者ならびに歯科医師からの要望上昇に鑑み、当学会でも専門歯科衛生士、専門歯科技工士の制度を早急に立ち上げることになりました。今年度は当学会の受け入れ体制の準備状況から、まず歯科衛生士の専門資格制度から開始することになりました。名称は(1) インプラント専門歯科衛生士で、今秋9月14、15、16日の第37回(社)日本口腔インプラント学会学術大会・熊本市までにスタートさせたいと考えています。そしてさらに一段高い専門性を認めた(2)インプラント指導歯科衛生士の構想も考えられています。
 歯科技工士の専門資格は、(1)インプラント専門歯科技工士をまず取得して、次に(2)インプラント指導歯科技工士を目指すキャリアパス制度の将来構想が考えられています。以上の各制度は本学会の正会員それぞれが、入会とともに取得を目指して研鑽を積んでいただきたく、口腔インプラント学・治療のより高度な知識と、先進的な医療技術に裏打ちされた専門性を身につける自信と誇りを享受していただいて結構と思います。しかし同時に、医療人の専門性とは誰のためのものか?、を私たちは常に思い起こす必要があります。申すまでもなくそれはどこまでも患者さんのためであり、深い医療倫理の真髄に根ざした人間愛であり生命愛であることを片時も忘れてはならないと思います。本年は「専門医・専門性」について深く考える歳にしたいと念願しています。
 それでは本学会会員皆様のご健勝とご多幸、そしてご活躍を祈念して2006年度末の挨拶とさせていただきます。


平成19年3月吉日