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学会理事長あいさつ

公益社団法人 日本口腔インプラント学会
理事長 渡邉文彦

 明けましておめでとうございます。皆様におかれましてはご健勝にて新年をお迎えのこととご推察、お慶び申し上げます。昨年は各地で地震、台風、大雨と多くの災害があり、被災された皆様には改めましてお見舞い申し上げます。本年は幸多き年となることを祈念致します。
 昨年の学術大会ではDGI(ドイツインプラント学会)に続きTADI(タイインプラント学会)と学術協定を結びました。海外との学術協定は世界の口腔インプラント学の臨床、基礎の最新の情報を共有し、世界に向け日本を発信することにあります。TADIは以前からJSOIと交流があり、TADIの国際シンポジウム(TADIの2年に一度の学術大会)およびJSOIの学術大会では互いに講師を招聘する関係にあります。タイのインプラントは大学を中心にしたレベルの高い治療、研究を行っており、留学生も日本の大学に多く、彼等のうち学位取得後、母国の大学のリーダーとなる方も少なくありません。海外との学術協定はその国を代表する統一されたインプラントに関する学会とのみ結んでおります。昨年12月にはTADIの主催する第4回バンコクインプラントシンポジウムが開催され、JSOIからは細川隆司先生、春日井昇平先生が講演されました。DGIとともに立ち上げた国際誌(International Journal of Implant Dentistry:IJID)は国際誌委員会を中心にインパクトファクターを獲得すべく進めております。この度学術協定を結びましたTADIのメンバーからも積極的にIJIDへの投稿をして頂くよう依頼致しました。今後も会員の皆様からも多くの論文の投稿をして頂き、学会として誇れる国際誌に育てていきたいと思います。
 さて、平成23年12月23日に国民消費者センターから口腔インプラント治療に関する患者の苦情をもとに出された要望書が関連団体、学術団体へ届きましたが、皆様の熱意とご努力により、少しずつではありますが、改善されてきていると感じております。調査によれば、現在歯科診療施設は20%と増加しているとの報告があります。本学会として取り組むべき点はこれからインプラント治療を導入する方、また現在インプラント治療を行っている方の治療スキルの習得と向上に尽きます。このため日本口腔インプラント学会は以前より専門医育成を事業の大きな目標の1つとして掲げ、推進しています。現在、会員数は昨年11月の時点で15,000名を超えて、所属歯科医師数は12,500余名です。このうち専門医数は1,100余名です。しかしまだ日本全体の人口からみると専門医数は不足です。適切な数は何名か断言できませんが、国民への適切な口腔インプラント治療が行え、且つインプラント治療がなされた患者のメインテナンス、フォロー、トラブル対応さらに医療従事者への治療相談ができる数を考えると充分ではありません。専門医制の在り方については医科から端を発し、医科が中心となり、歯科はこれに追従する形で、数年間議論されてきました。医科は、1年遅れましたが来年度から新たな専門医プログラムがスタートします。歯科は厚生労働省が歯科医師の資質向上等に関する検討会で検討し、ようやく、昨年10月に報告書が出されました。これによると歯科医療の中の歯科医療の専門性に関するワーキングですでに位置づけられている専門医(広告できないものも含む)については「今後の専門医の養成の在り方を考える際には、研修内容や認定にかかる客観的な評価法や認定基準等を設定する必要がある。これを第三者組織によって行うべきとの意見がある一方で、既存の組織内に外部委員を採用することによって対応すべきとの意見もある」と報告されています。この会議ののち、専門医制に関しては厚生労働省から離れて、日本歯科医師会、日本歯科医学会連合、歯科医療振興財団、国公立大学歯学部長・病院長会議、日本私立歯科大学協会、日本歯学系学会協議会からのメンバーにオブザーバーとして厚生労働省を加え、認定の評価基準や新たな制度のあり方を検討するとともに、必要があれば第三者機構「歯科医師専門性評価機構(仮称)」を設立する方針を示そうとしています。
 専門医制は誰にとって必要か、どのような資質が求められるのか、どのような研修教育を誰が行うか、またどのように評価するのか、その運営資金はどうするかなど、検討すべき点が多々あります。本学会としては一日も早く広告可能な専門医承認を希望し、関係機関に働きかけています。前にも申し上げましたが本学会としては単にこれらを待つのではなく、時間を要するのであれば、現行の制度と二本立てで進める方針は変わっていません。現行の制度が解消したわけではありません。国民にとって早くに専門医制を確立することが求められています。ご存知のように専門医制に関しては広告可能な専門医と標榜としての専門医があります。本学会が日本歯科医学会、日本医学会の承認を受け、平成21年に厚生労働省の申請しているのは広告可能な専門医です。広告可能な専門医は、適切な口腔インプラント治療を提供し、治療による責任を適切に判断できる歯科医であることを公示するために必要です。このため専門医試験のハードルは高く、専門医試験受験にはクリアーすべき多くの条件があります。もっと簡単に資格取得ができるようにすべきとの意見もありますが、これでは専門医の知識、技術の担保できません。これまでインプラントを掲げ日本歯科医学会で専門分科会、認定分科会の認定を受けているインプラント学に関する学会は本学会と日本顎顔面インプラント学会であり、両学会が広告可能な専門医承認に向け、連携し、一つの口腔インプラント専門医を目指すことが必要であることです。このことは厚生労働省からの意見としても国民にわかりやすいインプラント専門医を提示することを希望されています。このため昨年から両学会は専門医制度に関する実務者会議を数回行っており、一つの方向でコンセンサスを得るよう進めています。
 口腔インプラント治療に関しての教育の現場は全国にある45か所の大学系研修施設、25か所の臨床系施設です。5年以上に渡り、研修施設に所属し、ここで5年間の研修を通して医療道徳、治療技術、知識を習得するのです。この点では各研修施設を運営する方々には大変な負担を掛けています。また専門医は生涯のものではなく、5年ごとの更新が必要であり、常に現場で治療にあたる現役でなければなりません。このため取得後の研鑽が求められます。口腔インプラント治療専門医を目指し是非国民への適切な口腔インプラント治療提供を目指して頂きたいと思います。各研修施設での統一した研修を実施するための新しいカリキュラムガイドラインについては教育・研修委員会で検討中です。昨年行われたワークショップでは臨床系、大学系所属の先生方に2日間、熱い議論をして頂きました。これをもとに専門医取得に必要なカリキュラムの作成を進めています。会員が臨床系、大学系の各研修施設に所属し、生涯研修を積んでいくことがこれからのスキルアップのために必要です。
 新年にあたり、口腔インプラント治療を通して、国民医療にどのように関わっていけばよいか、その役割をもう一度認識したいと思います。

理事長 渡邉文彦


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